1.民法で定められた法定相続分と異なる相続割合を決めること。
2.遺産分割の方法を決めること。
3.特定の相続人を廃除(相続人から除く)すること。
4.定められた相続人以外のものに財産を遺贈すること。
5.遺言執行者の指定等
6.子の認知
7.後見人の指定
8.寄付行為、信託等
etc...
遺言でできることは多岐にわたりますが、万能ではありません。
遺言で相続分の指定をしたり、遺贈をしても、遺留分の範囲で遺言の自由は制限されます。
また、生前にされたのでは紛争が生じてしまうといったことを防ぐため、遺言によってしかなしえないような事項もあります。
その他個々の要件は法律によって非常に厳格に定められているのです。
せっかく作成したのに、法的に無効な遺言だった、などといったことのないよう、しっかりとした知識を身につけて下さい。
また、有効な遺言の前提となるものは法律です。複雑なものになると学者の間でも争いがあることもあります。
個々の具体的な状況をしっかりと把握し、必要に応じて、弁護士や司法書士等の専門家に相談するようにしましょう。
質問一覧
Q.特に遺言をしたほうがいいのはどういう場合ですか?
遺言は、生前における最終的な意思決定を、その死後に実現させるものです。
・ 大した財産はないから・・・
・ 話し合いでうまくやってくれるだろう・・・
と考えがちですが、苦労して築いた財産が原因でトラブルになるのは決して珍しいことではありません。特に、下記に該当する方は、残された家族のために特別な配慮が必要です。
1.お子さんがおられない方
夫婦の間に子供がいない場合に,法定相続となると,夫の財産は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。しかし,長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。そうするためには,遺言をしておくことが絶対必要なのです。兄弟には,遺留分がありませんから,遺言さえしておけば,財産全部を愛する妻に残すことができます。
2.内縁の配偶者がおられる方
長年夫婦として連れ添ってきても,婚姻届けを出していない場合には,いわゆる内縁の夫婦となり,妻に相続権がありません。したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておかなければなりません。
3.後妻さんがおられる方
先妻の子と後妻との間では,とかく感情的になりやすく,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえましょう。
4.商売をされている方
事業用の資産や権利を話し合いで分割するのは困難です。
5.相続人に行方不明者がいる場合
遺言がなければ、不在者財産管理人を家庭裁判所で選任した上で、分割協議をする必要があります。
6.長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
長男死亡後,その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には,その嫁にも財産を残してあげたいと思うことが多いと思いますが,嫁は相続人ではないので,遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないと,お嫁さんは何ももらえないことになってしまいます。
7.上記の各場合のほか,各相続人毎に承継させたい財産を指定したいとき
例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合が多いでしょうから,これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう。あるいは,身体障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。
8.相続人が全くいない場合
相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。
Q.不動産の相続と贈与どっちが得なの?
贈与税は相続税より税率が高くなっております。
また、贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、相続税は3,000万円+600万円×相続人の数となっていますので相続税の方が有利であることが分かります。
なお、贈与税には年間110万円の基礎控除がありますので、この基礎控除を利用して毎年110万円ずつ贈与すると10年間で1,100万円が無税で贈与できることになります。しかし、毎年一定額を贈与するという契約である「定期贈与契約」とみなされ課税されることがありますので注意が必要です。
定期贈与契約とみなされないためには?
定期贈与契約とみなされないためには、次のことをやっておく必要があります。
●毎年贈与契約書を交わし書面を保管しておく
●贈与の日をその都度変える
●銀行振り込みにし、受贈者側も貯蓄し自分で管理する
●贈与税の申告を毎年する
Q.買戻特約の抹消登記をする必要はあるのですか?そのままにしておくと何か不都合がありますか?
期間の満了後すみやかに抹消することをお勧め致します。
銀行から融資を受ける際、売却する際には必ず抹消登記をしなければならないため、その時になって急いですると費用(手数料)が割高になっていることがよくみられます。長期間放置しておくと権利関係が複雑になり、必要な手続が増え費用がかかることがよく見受けられます(例.会社の吸収・合併等)。また将来、登記印紙代(登記申請にかかる登録免許税)が値上がりすればさらに多くの費用がかかります。
Q.会社を設立するメリットは何ですか?
準備できる資金や売上の大小等それぞれの事情により個人事業の方がいい場合と法人化した方がいい場合がありますが、ここでは、一般的に言われている個人事業の場合と会社にした場合との違いをまとめてみました。
社会的信用の増大
おそらく1番のメリットはこれではないでしょうか。
個人として事業をする場合と、会社を設立して事業をするのとでは、社会的な信用に大きな違いが出てきます。
お取引先によっては会社組織でなければ、取引をしないというところもありますし(当事務所にも、取引先から法人成りを勧められたという理由でご依頼される方がいらっしゃいます)融資を受けるときや国や都道府県等から許可を受ける場合とき等、個人より法人という場合が結構ありますので、事業規模を大きくするためには、会社の設立が必要だといえます。
税務上の優位性
収入が少ないうちは得とは言えませんが、年商が大きくなってくると、一般に会社のほうが税金は安くなります。 個人の場合、所得が増えれば増えるほど、税率が高くなるという累進課税制度を採用しているのに対して、会社の場合は所得が増えても一定の税率が課されるからです。また、必要経費での優遇も個人事業にくらべると認められやすいメリットもあります。
あと、資本金1000万円未満の会社の場合、2年間消費税が免税されます。
ただし、法人税の均等割の発生や接待交際費の損金算入の制限等があるため、利益の額によっては一概に得とは言えない場合があります。
会社 | 個人事業 | |
---|---|---|
社会的信用 | 高い | 低い |
登記 | 可 | 不可 |
決算期 | 自由に定めることが可 ※会社の繁忙期等を避けることができる |
毎年1月から12月まで |
累進課税 | 出資者が出資の範囲内で責任を負う ※通常小規模の会社が事業資金を借入するとき等債務を負担する場合には、代表者が連帯保証人になることを要求されるのでその場合がほとんどなので、全責任を負うのと変わりません |
全ての責任を負う |
事業の継続性 | あり | ない |
税金 | 定率 ※役員に給料が出せるので経費が大きくなって良い |
累進課税 |
社会保険 (経営者のメリット) |
事業主が厚生年金に入れるので将来事業主の年金が多い。 厚生年金は会社と事業主が折半して払うので、会社が払う分は経費にできる。 |
国民年金にしか入れない |
Q.相続放棄の手続きと効果を教えてください
相続放棄は、他の相続人に関係なく、相続人が一人でできます。
自分が相続人であると知ったときから3ヶ月以内に、被相続人が生前住んでいた場所を管轄する家庭裁判所に申し出をしなければなりません。
この3ヶ月の期間を過きてしまった場合や、相続財産に手をつけてしまったりした場合には相続放棄はできません。
また、一度放棄をするとこれを取り消すことはできません。
提出先:被相続人の死亡した住所地を管轄する家庭裁判所
提出者:相続放棄をしようとする人
提出期限:被相続人が死亡したことを知ったときから3ヶ月以内
*期間が短いので注意してください。
必要書類等:放棄する相続人の戸籍謄本
被相続人の除籍(戸籍)謄本・改製原戸籍謄本
*出生から死亡までのすべての戸籍謄本
住民票の除票
印鑑
相続放棄をした場合、その放棄をした相続人は、はじめから相続人ではなかったものとみなされます。相続放棄をした相続人の子や孫に代襲相続は行われません。同順位の相続人の相続分が増えたりします。
また、仮に同順位の人が全員相続放棄をすると、次の順位の人が相続人になります。したがって、一人が、借金が多いということで相続放棄をすると、他の相続人に借金の相続権が移ってしまうことになるので注意が必要です。
なお、相続放棄をした人が、生命保険金や死亡退職金を取得することはできますが、その場合全額が相続税の対象となります。
Q.どのくらい財産があると相続税がかかりますか?
相続税は、正味の相続財産(プラスの相続財産-マイナスの相続財産)である課税価格から「基礎控除額」を引いたものに対してかかります。これは、少額の財産にまで税金をかけるのは酷だという考え方によります。
「基礎控除額」は3000万円+(600万円×法定相続人の数)となります。
亡くなった人の財産が基礎控除額以下だと、相続税は1円も払うことはなく、また、相続税の申告をする必要もありません。
亡くなった人の財産が基礎控除額を超えると相続税がかかることになりますが、財産から基礎控除額を差し引くことができるので、その差し引いた分、相続税が少なくなります。
例えば、亡くなった人に妻と子供が2人いれば、3000万円+(600万円×3)=4800万までの財産には、相続税がかかりません。仮に1億円の財産があれば1億円-4800万円=5200万円に対して相続税がかかるのです。
※法定相続人の数
①法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の数をいいます。
先ほどの例で子供2人が財産をもらわず、亡くなった人の妻だけが財産をもらっていても、基礎控除額は3000万円+(600万円×3)=4800万となります。
②法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりとなります。
(1)被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
(2)被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
Q.遺言を作成した後に内容を変更できますか?
遺言は,人の最終意思を保護しようという制度ですから,訂正や取消し(遺言の取消しのことを,法律上は「撤回」と言います。)は,いつでも,また,何回でもできます。
遺言は,作成したときには,それが最善と思って作成した場合でも,その後の家族関係を取り巻く諸状況の変化に応じ,あるいは,心境が変わったり,考えが変わったりして,訂正したり,撤回したいと思うようになることもあると思います。さらに,財産の内容が大きく変わった場合にも,多くの場合,書き直した方がよいといえるでしょう。
以上のように,遺言は,遺言作成後の諸状況の変化に応じて,いつでも,自由に,訂正や,撤回することができます。ただ,訂正や,撤回も,遺言(その種類は問いません。)の方式に従って,適式になされなければなりません。
預貯金の相続って司法書士に依頼できるの?
「預貯金の相続って司法書士に依頼できるの?」というご質問を受けることがたまにあります。不動産だけではなく、預貯金の相続手続きももちろん司法書士の仕事の一つです。
被相続人がたくさんの口座を所有していたりすると、各金融機関ごとに手続きが必要なので非常に手間がかかります。そこで、司法書士に依頼される方が多いのです。当事務所では、不動産と預貯金の相続手続きを一括してお引き受けすることも多々あります。
預貯金の相続手続きを行うには、まず、被相続人(故人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を集め、相続人を確定させなければなりません。漏れなく戸籍謄本を集めるのは意外と複雑な作業です。もし、被相続人が本籍を転々と移していたならば、各市区町村からその戸籍謄本を集める必要があります。遠方の場合、通常は郵送での取り寄せとなりますが、日数も手間もかかります。こういった作業をご自身で行うのは大変な負担になりますが、司法書士にお任せ下されば問題ありません。また、戸籍謄本を集めた結果、意外な相続人が発覚したことによってもめごとが生じ、思いのほか手続きに手間取って4~5か月かかってしまうという例もあります。思わぬトラブルを防ぐために、生前に遺言書によって相続人を確定しておくことも一つの方法です。当事務所でも遺言書作成のサポートを行っています。
相続人が確定されたら、遺産分割協議を行い、遺産の配分を決定します。その後、各金融機関所定の用紙に相続人が署名・捺印等を行って、戸籍謄本や相続人の印鑑証明書等と一緒に提出します。こうした手続きを経て、相続手続きが完了となるわけです。相続手続きをご依頼いただいた場合、その完了まで責任を持って行わせていただきます。
当事務所では、相続にまつわるあらゆるお手伝いを承っております。お困りごとがあればお気軽にご相談ください。