事例 ~株券発行の定めの廃止~

株券発行の定めとは

旧商法においては、株式会社は株券を発行するのが原則とされており、株券を発行しない会社は定款に「株券不発行の旨」を定めてそれを登記する必要がありました。
しかし、平成18年5月1日施行の新会社法では、それまでとは逆に、株券の不発行を原則とし、定款で定めがある場合にのみ株券を発行するということに変更されました。これにより、新会社法施行以前からの既存の株式会社においては、「株券不発行の定め」を登記していない限りは「株券を発行するのが原則」とされる旧商法の元に設立された会社であるという理論から、法務局の職権で「株券を発行する旨の定め」が登記されています。

事例
商号変更のご依頼を頂きました。履歴事項全部証明書を取得すると、「当会社は株券を発行する」という記載がされていましたが、ご依頼いただいた会社では実際に株券を発行することはないということでした。商号変更と同時であれば登録免許税も変わらないということもあり、株券発行の定めの廃止も同時に手続きを行うことになりました。
会社法の施行により、職権で株券を発行する旨が登記されていた例ですが、きちんと手続きをして株券を発行する旨の登記を削除すれば、株券を発行する必要はありません。
そのままの状態では、整備法76条4項により、定款にも株券を発行する定めがあるとみなされているので、まずは定款を変更し、株券発行の旨の定めの廃止を行い、その内容を登記しなければなりません。
ご依頼いただいたのは株式を実際に全く発行していない会社でしたので、手続きは以下のようになりました。(株券発行の定めの廃止に関する部分のみ抜粋)

【登記事項】
「株券を発行する旨の定め」年月日廃止

【登録免許税】 
 金3万円(24(一)ツ)

【必要書類】
①株主総会議事録(株券発行の旨の定款の定めの廃止の特別決議) 
②株式の全部について株券を発行していないことを証する書面
③委任状
  ※代表取締役が実印(届出印)を押印
ひとこと
上記は株券を発行していない会社の手続きです。
実際に株券を発行している会社の手続きは異なります。詳しくはお問い合わせください。